日本は超高齢社会を迎え、高齢者の抱える健康上の問題に対応する医療機関、高齢者施設、さらには医療経済上の負担増が指摘されています。そのなかには、身体の不自由と独居から自分で爪を切ることが不可能な「爪切り難民」の増加もあります。また、若年者においても靴のサイズが合っていない、運動での外傷などから爪トラブルに陥ることもまれではありません。このように爪に関する問題は老若男女を問わず生じています。
爪トラブルの多くは皮膚科を中心とした医療機関での処置を必要とし、その処置には時間と技術を要しますが、その割には診療報酬が低いためになかなか積極的な取り組みがなされず、またすべての患者さんを医療機関のみで対応することは物理的に無理な状況もあります。
一方で、街中には様々な爪トラブルに対して医療行為に類するネイルケアを行うサロンがみられ、医師の監督無しに行われている実情があります。処置に関するトラブルがいつ生じてもおかしくない状況にあり、患者さんの不利益に繫がるリスクも否定できません。
以上から、医療機関で医師以外でもネイルケアが担当できる看護師(メディカルネイルケアスペシャリスト:MNS)を育成し、必ずしも医療行為を必要としないネイルケアに関しては、医療機関外の施設(ネイルケアサイト:NCS)でのケアも可能とし、医療機関と連携を取り安全性を確保するために、知識・技能が備わったネイリスト、ネイルケアラー(MNS)を育成することが必要と考えました。
この育成、教育機関として一般社団法人ネイルウェルビーイング協会を2025年4月に設立しました。また当協会では、ネイルケア製品に対する臨床研究を推進し、十分なエビデンスを有する製品には協会から認証を付与することとしています。
国民全員が必要かつ適切なネイルケアが受けられ、爪で悩む人がゼロのネイルウェルビーイング®な環境整備することを目標とします。皆様のご協力をなにとぞよろしくお願いいたします。
令和7年7月
一般社団法人ネイルウェルビーイング協会理事長
川島 眞
